キンキー・ブーツ見たかったなあ

何気なくyoutubeを流していたら、

いつの間にか、画面でミュージカルの一部が、

にぎやかに表示されていた。

画面では、ハイヒールを履いたドラァグクイーンと、

靴屋の青年が歌って踊っている。

「キンキー・ブーツ」だ。

 

背の高い、美しいドラァグクイーン三浦春馬さんで、

靴屋の青年は小池徹平さんだ。

 

面白かった。

素敵な舞台だ。

ちゃんと最初から最後まで、

劇場で見たかったと思った。

 

三浦春馬さん演じるドラァグクイーンのローラは、

常識とか規則とかを飛び越えて、

好きなものや美しいものを選択するのだと高らかに歌う。

快適さなんてくそくらえ。

美しくセクシーにと、

真っ赤なハイヒールブーツを靴屋の青年に作らせ、

さらに彼に履かせるのだ。

 

三浦春馬さんはうまかった。

演技も、歌も、ダンスも素晴らしかった。

 

ただ、しばらく見ているうちに、

この人は自分が出ていないなと思った。

一生懸命だけれど、感情が伝わってこない。

なんだかものすごく遠くにいる人みたいだ。

 

だから、どうしても、

靴屋のチャーリーに目が行く。

小池徹平さんは、かなりヤバいやつだ。

すべてをさらけ出して、板の上に立っている。

テレビで見るのとは違う、

いい役者がそこにいた。

 

せっかくローラの役をやったのに、

自ら死ななければならなかった三浦春馬さんは、

なんだか悲しいなと思った。

はじけることが出来なかったのだから。

 

「もしも」をいくら言ったところで意味はないのだが、

もしも、三浦春馬さんがもっと生きていることが出来たなら、

本当にいい役者になれただろう。

 

家族のことで悩み、

仕事のことで悩み、

人よりもたくさん傷ついた分だけ、

表現力は凄みを増していく。

 

心の中の暗闇を吐き出すことが出来たなら、

彼は、一目見たら忘れられない、

唯一無二の役者として、

より多くの人に愛される存在となれただろうに。

惜しいなと思う。